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Writer's pictureRafu Shimpo

敬老ノースウエスト

 「来年から新しい名前になります」とニュースレターが届いた。シアトル敬老などを運営する団体、日系コンサーンズが来年1月からは「敬老ノースウエスト」になるという。  高齢化する一世のためのナーシングホームをと日系二世たちが立ち上がったのは40年前。その名も「一世コンサーンズ」として団体を発足、翌76年には、シアトル敬老を開所した。6年後に「日系コンサーズ」と改名したのは、引き続き二世、三世と続く日系コミュニティーのための団体であることを目的としてのものだった。で、ここに来て日系をはずした新たな名前とするのは、それなりの意味を込めているに違いない。  ジェフリー・ハットリCEOは、ヘルスケア・リフォームとコミュニティーの変遷の二つを挙げている。コミュニティーからの寄付やファンドレイジングがあってもなお、主要事業であるシアトル敬老の運営は決して楽ではない。また近年、日系利用者の割合は低下している。存続のためには日系にこだわらず、ナーシングホームであることにこだわらず、との方針が採択され、シアトル敬老は既に「シアトル敬老 リハビリテーション&ケアセンター」となっている。  毎週月曜日の午後2時は、シアトル敬老ではボウリングの時間だ。プラスチックのボウリング・ピンを拾って立てるのも、ストライクやスペアが出るたびに歓声を上げるのもボランティアの役目。夏休み最後の月曜日は、孫二人を連れていつものボウリング・ボランティアに出かけた。敬老は孫たちにとって、かつて父も叔父叔母もがボランティアとして通った所。汗をかきつつピンを拾う孫もまた、コミュニティーでのボランティア活動について考え始めたようだ。  高齢者の増加でアメリカでは、ヘルスケアは今後10年間もっとも伸びるビジネスといわれている。大手ビジネスが巨額資本で新しい施設を開いていくさまは、かつて大手スーパーマーケットが個人商店を呑み込んでいった様子を想起させる。  シアトル日系コミュニティーの生んだ敬老ノースウエストが、この大波に呑み込まれずに生き残ることを心から願っている。【楠瀬明子】

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