新女王にアダチさん:コロネーションボウル
女王交代で、昨年度のジャクリン・トミタ前女王(右)からティアラを被せてもらうジョーダン・アダチ新女王
第77回二世週祭の今年度女王を決めるコロネーションボウルが19日夜、アラタニ劇場で催され、7人の候補者の中から選ばれたサンファナンドバレー日系コミュニティーセンター推薦のジョーダン・ケイコ・アダチさん(23)が就任した。新女王は「日系社会の『家族愛』を育みたい」と意気込む。【永田潤、写真も】
サンファナンドのセンターからの女王は、昨年のジャクリン・イワタさんに次いで2年連続。ファースト・プリンセスには米国日系レストラン協会推薦のユリカ・クリスティ・ヨネダさん(24)、ミス・トモダチはイースト・サンゲーブルバレー日系コミュニティーセンター推薦のケリー・アキコ・セラさん(21)が、それぞれ選出された。
候補者は、それぞれの地域社会と推薦を受けた各団体の期待を一身に背負い、本番に臨んだ。専門家から指導を受け、日本語や茶道、生け花、着物の着付け、日本舞踊、スピーチ、メーキャップなどの技能を習得し、晴れの舞台に上がった。各演技に合わせて衣装替えし、和服で日舞を踊ったり、軽快な音楽に乗って、テンポの速い息の合ったダンスを披露し、大きな拍手と声援を浴びた。
2017年度の新女王に就任し、笑顔のジョーダン・アダチさん
審査対象となるスピーチでは、各候補者は自身の体験を披露しながら持論を述べた。アダチ女王は、4歳から始めたバスケットボールを主題に展開。人生で最も成長したのは、高校に入学し部活に明け暮れた1年の時だった。強豪チームで勝利を重ねる一方で、自身はけがに悩まされ、負傷した個所の手術を受け、落ち込んだという。だが「毎日練習に励み、けがを幾度も克服することで、諦めず自分を高めることを学び、自分を誇りに思う」と、不屈の精神を養ったことを強調した。 司会は、チャンネル7の「Eyewitness News」のアンカー、デイビット・オノさんと元二世週祭コートで、実行委員長を務めた経験を持つヘレン・オオタさんが務めた。2人は会場の笑いを誘いながらショーを盛り上げる一方で、各候補者に日系社会のリーダーの1人となる二世週祭女王の資質を問う難解な質問を投げかけた。 各候補者への公開質問は「二世週祭コートのメンバーとして、二世週祭と南カリフォルニアの日系社会を代表し、外の社会を訪問する機会を持つ。訪れる方々で、われわれのコミュニティーのユニークさをどのように紹介すればいいのだろうか」 アダチ女王は「知り合いでも、そうでなくても、打ち解けられるのが特徴。ここの日系社会にとっては、これはとても重要なことで、姉妹都市(の名古屋)から来るゲストをもてなすことで団結を示せばいい」。ファースト・プリンセスのヨネダさんは「日本を訪問する際に、南加の日系社会は誰でも受け入れ、助け合う性格があると紹介したい」 戴冠後にメディアのインタビューに応えたアダチ女王。自身の名前が呼ばれた瞬間は「信じられなくて、夢を見ているようだった。とても驚き、今までの人生で味わったことのない感情になり気持ちが高ぶった。日系社会に貢献することができると思うと興奮した」と振り返った。 日系社会の代表の1人となり、責任感が重くなったといい「日系社会を家族としてまとめる諸行事に参加することにエキサイトしている。(今年の二世週祭のテーマの)『家族愛』を育みたい」と意気込んだ。親善大使としての活動について「訪日は初めてなので、驚くことが待っているだろう。美しい島のハワイとサンフランシスコ訪問も興奮している」 地元サンファナンドバレーの支援者への謝意も忘れず、この1年間の活動は「私生活を犠牲にすることもあると思うけど、任務を遂行したい」と、女王の自覚を示しながら「人生で1度しかないチャンスを楽しみたい」と抱負を述べた。
新女王とコートにエール 委員長「日米親善に貢献を」 ハシモト二世週祭実行委員長は、コロネーションを振り返り「とてもよく、スムーズに進んで無事に終われてよかった。女王候補者は、ステージの上で最高のパフォーマンスを演じた。困難な質問にも動じずに、的確な意見を即座に述べ、聴いていて頼もしかった」と、たたえた。これからの活動については「今夜うまく演じた同じように、女王のリーダーシップの下で団結してやってほしい」と期待を寄せた。委員長は、女王とコートとともに各所を訪問するが「この7人とは、どこへ行っても恥ずかしくない振る舞いをしてくれるだろう。日本に行くのがとても楽しみ。日米の親善のために、いい務めを果たしてくれるに違いない」と述べた。委員長は、ステージで候補者とともにダンスを踊り、会場を沸かせた。 女王を2年連続で輩出したサンファナンドバレー日系コミュニティーセンター会長のダニエル・オカザキさんは「とてもうれしく興奮している。まさか、2年続けて女王が出るとは思わなかったので、信じられない」と、驚いた表情で話した。アダチ新女王について「とても献身的なので二世週でも、日系社会全体のためにうまくやってくれると確信している。われわれのセンターと日系社会の代表として、胸を張って活動してもらいたい」と希望した。 サンファンナンド・センターから推薦を受けた新旧の女王。コロネーションで新女王にティアラを載せ、ガウンを着せ、後を託したトミタ前女王は「同じセンターから2年連続で女王に選ばれ、とても興奮している。ステージでみんながとてもいい受け答えをしたので、僅差だったに違いない。女王がまた今年もわれわれのセンターから出たので、メンバーが喜んでくれると思うと、とてもうれしい」と語った。新女王とは少女時代から同じバスケットボールリーグでプレーしたといい「ジョーダンは情熱があり責任感があるので、コートをうまくまとめ引っ張ってくれるだろう」と述べた。新女王へのアドバイスは「ただ、それぞれの瞬間を楽しんでもらいたい」と、エールを送った。 女王とコートは、任期の1年間、地元の日系社会のさまざまなイベントで活躍するほか、名古屋、ハワイ、サンフランシスコなどを訪問し、文化交流の親善大使の役割も担う。20日のグランドパレードには着物姿で登場し、フロートに乗って戴冠後、一般に初お目見えし愛嬌を振りまきデビューを飾った。
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