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Writer's pictureRafu Shimpo

日本語学園協同システム新学園長に就任した:村方清さん

1945年生まれ。アーケディア在住。趣味は週1回のゴルフと「支持政党の番組がおもしろくて一度に3時間は見てしまう」という政治番組の視聴

 「学園長になるまでは、週に何度かやって来る孫の相手をしていました」  7月に日本語学園協同システムの新学園長に就任した村方清さん。

歴代学園長の写真が飾られた廊下の奥に村方さんの新しいオフィスがある。「田中(雅美前)学園長が体調を崩される以前、3年ほど理事会アドバイザーをしました。当時パサデナ校で教えていたので、経営と教育の両面で学園のようすが見えてきていました」  かつては日本人が多く住んでいたというLAの中心部に同学園の中高等部を兼ねた本部がある。元はLA赤十字の幹部の邸宅だったという古き良き時代の建物。先人の残した不動産資産がありながら、それを運用できる人材に欠いていた同学園にとって、金融や不動産の畑を30年以上渡り歩いた村方さんの存在は大きかった。「金融的見地で不動産を見る経験が必要」だからだ。  村方さんは教育の分野においても経験豊富。バブル期に世界一の生徒数3000人以上を誇った日本語補習校「あさひ学園」の運営に関わったこともある。「バブルが弾け駐在員が帰国すると生徒数は激減しました。学校収入の大半は授業料。1990年代の終わりからは大幅な赤字となりました」。生徒の減少に合わせ、支出面でも教室数や教員を減らし立て直しを図った。財務理事を無償で2年、2005年からは専務理事として4年間。理論的改善を責任持って進めた結果、次第に効果が現れ、大幅赤字は解消された。   教育面では学習指導カリキュラムの改革にも関与した。月1回、4年間のカリキュラム検討委員会を実施してもなお、「なかなか難しかった」と当時を振り返る。  「いずれ帰国するかしないかで日本語の必要度が違ってくる」この違いで起こる日本語能力のギャップは、現地校の課題が増える高学年になるほど大きくなるという。  協同システム内でも羅府中央学園が新たな試みを始めた。家庭の日本語環境の有無によりクラス分けを行い、異なるカリキュラムで授業をするというもの。「子どもによっては日本語が上手な生徒と席を並べた方がやる気が出るタイプもいる。だからこのクラス分けも試行錯誤の段階です」 村方さんは「協同システムの強みはスピーチコンテストにある」と感じている。自分のテーマを見つけて文章にし、人前に立ってスピーチするという経験は大変貴重なもの。日本でも近年、重要視されて来てはいる。  だが同学園はその一歩前にいる。「今年のスピーチコンテストで自身の『性同一性障害』について取り上げた子がいました。『義理の姉妹』について取り上げた生徒もいた。こういう内容は今の日本ではまだテーマの対象になりにくいでしょう」個人の意思を尊重する指導者側の姿勢もまた、賞賛に値する。  「家庭と学校がコミュニケーションを取ることが大切。子どもたちの継承日本語を親に見守ってもらいます」  村方さんは自身の引退時期をずっと先に据えるようにして言った。 「具体的にはまだまだこれからですけどね」【麻生美重】

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