時間というもの
テレビジャパンのいつもの放送が途絶えて3週間になる。衛星放送は終了いたしますが、ケーブルテレビでご覧のお客さまは引き続きご覧になれます、と広告していたのに、これって、契約違反じゃないのだろうか。 「次の番組が始まるまでしばらくお待ちください」のテロップとともに画面に映し出される深い森の木々のざわめき、流れる雲、川のせせらぎなどの映像には癒されるものの、その後に始まる番組は子ども向けのアニメばかり。誰が見るの? とボヤキながら…ちびまる子ちゃん好きの私は「ろぼっ子ビートン」というアニメに、けっこう、はまってしまっている。 登場人物は、発明家のノーベルさんが組み立てた出来損ないの子ども型ロボットと小学生のマサオ。対するはいつも3人のガキレンジャーを従えたガキおやじとが、毎回はげしいバトルを繰り広げる。 このオヤジは、いつも自分が一番でないと気に入らず、潜望鏡でマサオたちの動向をさぐり、優秀なスーパーロボット「ブリキン」を使って、あの手この手で邪魔をするのだ。財力に物言わせ、宝探しといえば、地図にある土地ごと買い占めたり、姪のウララちゃんのコンサートを開くとなれば、あの「カモネギホール」さえ予約して対抗する。が、時に情にもろく、憎めないところも見せる。 40年も前の作品らしいが、ガキおやじが口を尖らせてわめき散らす様子が、そのままどこかの大統領とだぶって見えてくるのだ。 イラクにミサイル100発撃ち込んだゾイ! TPPは辞めたのだゾイ! でも、復帰しようかナ? 吾輩のアメリカが一番なのだゾイ! 勤めを終えて1日2、3時間の日本語のテレビタイムは、リラックスでき、ストレス解消にも役立っていると思っていたけれど、なけりゃないで引き換えに思いがけないゆったりとした時間が戻ってきたようだ。忙しくて、読書などからも遠ざかっていた。先送りにしていた書類整理もでき、部屋はきれいに片付くし、食器磨きなどもていねいにする気になる。 思いもかけず、老い先短い身の、時間の使い方を考えさせられている。【中島千絵】
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