最大の敵は無関心
朝から晩まで働いて、疲れて帰って寝る。もらった給料から家賃を払い、1人の社会人として自立した生活を送る。日々生きていくだけで、自分のことを考えるだけで、精一杯だったりもする。 「あなたはどうしてこの問題に関心があるの?」と同僚に不思議がられることがよくある。そんな質問を受けるたびに少しため息が出る。彼らは私や家族がまさにその問題の渦中にいると思うようだ。当事者でなくても問題だと感じることは山ほどあるのに。 こういう時、あらためて悟る。世の中で起きる問題の多くは、ほとんどの人にとって、関心のない他人事なのだと。社会学者の恩師の言葉を思い出す。「最も手強い敵は人々の無関心と無定見なのかもしれない。メディアはどう立ち向かうか考えなくてはならない」と。 もしも投票率が100パーセントになったら、世の中は変わるのではないか。海外に暮らす人の在外投票も含め、選挙権を持つすべての18歳以上の人が、日本の諸問題や将来に関心を持って1票を投じる。そんな風に思うのは、あまりに稚拙な夢物語だろうか。 総務省のデータによると、最近の国政選挙の投票率はいずれも50%台。たった半分の有権者の投票で議会構成や総理大臣が決まってしまう。政権交代を恐れて投票率が上がらないように何かしら仕組んでいるのではないか、と疑ってしまうほどだ。 今度の日曜日に投開票が行われる第48回衆議院議員選挙。残念ながら、何のために議会を解散して民意を問うのか、いまだ不透明なままだ。突然の解散で在外投票の機会を逃してしまった海外在住者も多いのではないだろうか。 どんな手段を使っても議員バッジを手にしたい政治家たちのエゴに振り回され、加えて、野党は選挙直前に大分裂する始末。国民が取り残される悲しい現状がある。イギリスやアメリカのように直接投票で国のトップを決める審判を下したいけれど、日本ではそれができないのがとても悔しい。 天気予報によれば、投票日は季節外れの台風が日本列島に接近するとのこと。政界にも秋の嵐が吹き荒れるのか、それとも無風で終わるのか。それを決めるのも私たちが投じる大切な「1票」なのだ、と信じたい。【中西奈緒】
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