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Writer's pictureRafu Shimpo

東本願寺:「環境に優しい」おもてなし【上】


東本願寺特製のペットボトル。このボトルを買ってドリンクを入れてもらうとその代金がディスカウントされ、初日で完売する人気ぶりだった。

東本願寺特製のペットボトル。このボトルを買ってドリンクを入れてもらうとその代金がディスカウントされ、初日で完売する人気ぶりだった。

 夏の風物詩、ロサンゼルス東本願寺別院の盆祭りがさきごろ盛大に行われた。先祖が仏様として見守ってくれる中、家族が集ってその先祖を思い、また、多様な民族の人たちが日本の伝統や文化を楽しむ場である毎年恒例のイベント。今年は新しい取り組みがスタートし「環境にやさしいおもてなし」が多くの人たちに届けられた。今回は盆祭りの模様をちょっと違ったアングルから上・下2回に分けてレポートする。【中西奈緒、写真も】

◎毎年大人気のお盆祭り


盆踊り好きが高じてクラスに通って練習し、毎年参加するマーク・アンバーさん(先頭)ら。全身を使って熱狂的に踊るスタイルで周囲を圧倒。

盆踊り好きが高じてクラスに通って練習し、毎年参加するマーク・アンバーさん(先頭)ら。全身を使って熱狂的に踊るスタイルで周囲を圧倒。



カラフルな浴衣を来て盆踊りを楽しむ女の子3人組

カラフルな浴衣を来て盆踊りを楽しむ女の子3人組

 1950年に始まった東本願寺の盆祭りは今年で65回目を迎えた。当時まだお寺がボイルハイツにあった戦後まもない頃、みんなが集まれる場所をつくって日系社会を元気づけようと「お盆カーニバル」という名前で始まった盆祭り。当時はお祭りムード一色で仏教的な要素はなかったが、1960年から万灯会法要が行われ仏教の教えも伝えられるようになり、1976年に小東京にお寺を移したのだという。  今年の祭りではテリヤキチキン、そうめん、シェーブアイス、南米料理のタマレやタコス、ホットドックなど、ロサンゼルスならではの文化の入り混じった出店が並び、小笠原流煎茶道によるお茶のセレモニーやファーマーズマーケット、太鼓などのライブパフォーマンス、万灯会法要や盆踊りなど盛りだくさん。特に、カラフルな法被や浴衣を身にまとい日米の音楽に合わせて盆踊りに熱狂するする老若男女の姿は、まず日本では見ることのないシーンだ。  この日系社会伝統の盆祭りはいまや多くの人たちに広く開かれ、日系の家族が集う場であると同時に、日本の伝統や文化、仏教の教えを伝える発信地としての役割を果たしている。

◎環境にやさしいお盆祭を目指し


リサイクル可能なプラスチックや紙でできた容器で食事がもてなされた

リサイクル可能なプラスチックや紙でできた容器で食事がもてなされた



古くなったランタン飾りの木の枠を再利用してつくられた盆踊りに使うナルト

古くなったランタン飾りの木の枠を再利用してつくられた盆踊りに使う鳴子(なるこ)

 そんなコミュニティーに広く開かれた盆祭りで、今年は新たな取り組みが始まった。食べ物ブースでは今まで使われていた発砲スチロールの容器は姿を消し、リサイクルが可能なプラスチックや紙できた容器のみが使われるようになった。ドリンクコーナーでは、緑色と紫色の2種類の「東本願寺特製ペットボトル」が3ドルで売られ、これにドリンクを入れてもらうと代金がディスカウント。用意された100本ほどのボトルは、2日間のお祭りの初日で完売してしまうほどの人気ぶりだった。また、買い物をする際には事前からエコバックの使用を呼びかけて、プラスチックバックの提供はできる限り避け「東本願寺特製エコバック」の購入を促した。  ファーマーズマーケットでは、今年もサンディエゴとオックスナードの15の農家から野菜や果物が寄付された。今までは売れ残ってしまったものを処分していたのだが、今年は売れ残りを極力防ごうと、入荷するものを吟味。残ってしまったものは非営利団体のFood Bank「Food Finders」が次の朝に引き取り、スキッド・ロウにある低所得者やホームレスの家族を支援しているセントフランシスセンターに提供した。  また、古くなってしまったランタン飾りの木の枠を再利用して、盆踊りに使うカチカチと音を出す鳴子(なるこ)をつくって販売もした。デザインはキティーなどのアニメのキャラクターがモチーフとなった。

◎地域の団体とのコラボレーション  東本願寺のこの新しい取り組みは、小東京協議会のプロジェクト「Sustainable Little Tokyo」とのコラボレーションからスタートした。このプロジェクトは2012年に始まり、環境・社会・経済の3つの視点からこの世の中を持続可能な社会にしていく「サステイナビリティー」を目指していこうとするもの。盆祭りでも「もったいない」をコンセプトに、地球やすべての生き物に敬意を払いながら無駄なものの削減、再利用やリサイクルを心がけ、持続可能な社会へ移行していく試みの第一歩とした。東本願寺と小東京協議会メンバーはさまざまなコミュニティーの仕事ですでに親しくなっていたことから、今年一緒にプロジェクトをしようという話になった。さらに食糧の無駄をなくし飢餓をなくしていこうと南カリフォルニアを中心に活動する食料援助の非営利団体「Food Finders」とのコラボレーションも同時に生まれた。今回こういった地域団体との積極的なコラボレーションが生まれ背景には何があったのだろうか。(【下】はこちらから


残ってしまったファーマーズマーケットの野菜や果物、出店の食べ物は非営利団体「Food Finders」引き取って、低所得者やホームレスの家族を支援しているセンターに提供した

残ってしまったファーマーズマーケットの野菜や果物、出店の食べ物は非営利団体「Food Finders」が引き取って、低所得者やホームレスの家族を支援しているセンターに提供した



リサイクルできる容器に入ったテリヤキやタマレを楽しむ家族とその仲間たち

リサイクルできる容器に入ったテリヤキやタマレを楽しむ家族とその仲間たち


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