榧本流米国錦龍吟詠会:秋季吟詠大会を開催
大会前に参加者全員で声を揃えて吟じた吟士たち
榧本流米国錦龍吟詠会は9月27日、西羅府仏教会で秋季吟詠大会を開催した。同会の吟士は日頃の練習の成果を披露するとともに、来賓として羅府国誠流詩吟会の師範らも参加。流派を超えて互いを高めあうとともに、吟道に精進することを誓い合った。
作者の気持ちを理解するよう吟士たちに指導する同会宗監の植野宗龍師範
同会宗監の植野宗龍師範によると同会がもっとも重点を置くのは、詩の意味を深く理解すること。「ただ声に出すだけでは詩の意味は伝わりません。作者の気持ちを理解し吟じる。気持ちが入らなければ吟にはなりません」と力を込める。
「詩吟は声だけでなく心で吟じる」。同会会長の後藤穣叡師範は、先代宗家たちが残したこの教えを吟士一同が受け継ぎ、共に成長しあうことを呼び掛けた。
来賓として出席した国誠会の西川国順会長は「錦龍会には、力強い歩みが感じられる。吟詠大会に参加するたびに、その感激を味わっています」と語り、錦龍会から学んだことを今後、国誠会にも生かしていきたいと話した。
大会には同会の西羅府、オレンジ、サンファナンド、オレンジコースト、サンディエゴの5支部の吟士が集結。大会は第1部の会員吟詠から始まり、第2部の国誠会による来賓吟詠、第3部の指導者吟詠へと続いた。
声だけでなく心で吟じるよう吟士たちに呼び掛ける後藤穣叡会長
会員吟詠では、12人の吟士が舞台に立ち、力強く練習の成果を発揮。聞いていた吟友たちは、当時の情景を思い起こし、詩の意味を理解しようとするがごとく、静かに耳を傾けていた。 サンファナンド支部のダグラス・フィッツジェラルドさんは詩吟を習っていた妻の栄翠フィッツジェラルドさんの影響で、2年前に同会に入会した。「退職後、妻と一緒にできる趣味を探していた時、詩吟と出会いました」。詩はすべてローマ字で記し、妻から説明を受けて当時の時代背景を理解し、吟じているという。 指導している植野会長は「米国人で詩吟を聞いたこともなかったと思うが、表現力がよい」と話し、フィッツジェラルドさんも「これからも内容を理解し、作者の気持ちを表現できるように吟じていきたい」と意気込みを語った。 「同会にはおよそ40人の会員がいるが、新しく入会してくる生徒は少ない」と宗監の植野師範は話す。「昔は学校で詩吟を習ったが、今の世代は詩吟自体を知らない。若い世代にもっと詩吟を知ってもらいたい」と話し、さらなる詩吟の普及を願った。【吉田純子、写真も】
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