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Writer's pictureRafu Shimpo

熱海のMOA美術館に感動

 この4月、日本を旅行中に東京から新幹線で45分の静岡県熱海で温泉に浸かり、翌日、山の上の美術館で北斎・広重展を開催中と聞き、これはぜひと訪れてこの美術館の素晴らしさに驚き魅せられた。その名はMOA美術館(以下モア)。日本でも欧米でもたくさんの美術館を見たがこれは 所蔵美術品の質と数の文化的高さ、豊かな自然の中に息を飲むパノラマ景観を持つ壮大な立地、個性豊かな美術館の建築設計など卓越した魅力のオンパレードで、以前本欄に訪問記を書いた島根県安来市の足立美術館と滋賀県甲賀市のミホ美術館に勝るとも劣らない日本の資産だと感動した。  美術館で見た資料によるとモアは明治、大正、昭和を生きた画家、歌人、書家、建築家、文明評論家、実業家、慈善家、そして最後は宗教家となった岡田茂吉が生涯をかけて私財で収集した絵画、彫刻、工芸をはじめとする国宝や重要文化財を含む約3千500点の美術品を基に、彼の財団が岡田の生誕百周年の1982年に開館したという。明治から平成へと生きて足立美術館を創設した足立全康と似通った生き方で、立派な志の日本人が居たのだと感激し感服した。  美術館で見た伝記とガイドの話では、岡田は自身の家庭で続いた不幸や病苦の中で、優れた美術品は見る人の魂を洗い心を安らかに幸せにする、少しでも多くの人に見せて人生の向上と文化の発展に寄与したいと願い、また戦後日本の美術品の海外流出の風潮の中でそれを防ぎ保存したい、世界の人々に見せたいとまず箱根美術館を開設した。彼の財団が彼の死後に彼の願いを継承してモア開設に至ったという。  熱海駅からバスで5分の美術館の前は海を望む広場となっており、建物に入ると山の上の美術館まで全長200メートルを長いエスカレーターを7基も乗り継いで進む。エスカレーター壁面は照明の色彩が変化し続け楽しい。上の3階建ての美術館内には大きな能劇場もあり折々能や歌舞伎の催しがある。ロビーからは青い海に房総、三浦、伊豆の各半島を望む180度の絶景が広がる。館の外には広大な竹林、庭園そしてお茶室。世界に誇れる必見の美術館だ。【半田俊夫】

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