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Writer's pictureRafu Shimpo

犯人はロウデント!

 気温が急に冷え込み、大雨が連夜続いた。その翌朝の土曜に事件は起きた。食材買い出しに出かけようと昼前、アパート1階の共同車庫へ向かった。通常通りにエンジンをかけようとするがカラ回る。どうも最後の一息が届かない。ラジオはかかる。ヘッドライトもつく。何度もキーを回すが、やり過ぎを懸念して、たぶんバッテリー不足だろうと電話してサービスを呼んだ。  半年前にリースした中型SUVの新車だ。数週間前に走行3000マイルの点検をして問題なしのお墨付きをもらったばかりなので、一層不可解に思った。1時間後、修理サービスのお兄さんが現れ自らチェックすると、すぐさま「バッテリー切れじゃない。完全シャットダウン。原因はディーラーのコンピューターで調べてもらわないと…」と言う。  仕方なく、次はレッカー車をアレンジ。さらに2時間待機。昨晩まできちんと起動していたので、自分の運転に非があったのか思いを巡らした。  フラットベッドの大きいトラックが現れ、高さ3メートル程の車庫の入り口からなんとか運び出す。  無事サンタモニカのディーラーに到着し、故障の診断結果を待つ事30分。面識ある担当者が現れ「説明するよ」と意味ありげな含み笑いをする。  ボンネットを開けるとエンジンの表面上に小さな点々マークが至る所に付いている。奥のワイヤーの接続部分が裂かれている。  「ネズミの仕業だよ」と。  「ネズミ…?」  話を聞くと、大雨で寒かったため、暖かい居心地良いエンジンにやって来て、ワイヤーをかじりまくったとのことだ。自分は初耳だったが、月に数台程、同じ要因で故障車が、その修理工場に運ばれてくるという。この種の修理には外的要因なのでリースに含まれている補償は使えず、1200ドル程かかるという。仕方なく今保険会社と交渉中だ。  今後の防止策として、スプレー式駆除剤と撃退可能な超音波機器をネットで調べて早速入手した。これで再発を防げなかったら、あとは暖かい晴れの日がずっと続く事を神に祈るしかない。  一つ学んだ事は、ネズミやリスなどのかじる動物の総称は、げっ歯類、英語でRodent(ロウデント)という。【長土居政史】

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