琉球箏曲興陽会:LA支部が50周年公演
幕開けの箏曲「七段管撹、ゆらてぃく節」の演奏
琉球箏曲興陽会ロサンゼルス支部(照屋勝子支部長)の創立50周年記念公演「響き渡る(The Journey of Sound)」が11月28日、トーレンス市のアームストロング劇場に満員の観客を集めて開催された。
開幕に当たり、照屋支部長から「興陽会本部はじめ、非常にたくさんの先生方のご支援とご協力をいただき、支部創立50周年の記念すべき節目を迎えることができました」と感謝の言葉があり、プログラムがスタート。
華々しく舞台に並んだ21人のメンバーによる琴演奏、それに三線、太鼓、優雅な踊りが加わって厳かに「めでたや めでたや かれよしの遊び うちはれてからや 夜のあけててだの あがるまでも…」と、慶賀の歌意が詠み込まれた「ゆらてぃく節」が沖縄の情景を鮮やかに映し出す。
箏曲斉唱のほか、宮城流や玉城流各派の琉球舞踊も加わって、祝賀プログラムは箏(クトゥ)、三線(サンシン)、太鼓、胡弓(クーチョー)、笛(ファンソウ)、踊りが一体となって華やかに繰り広げられていく。
人間国宝・照喜名朝一琉球古典音楽安富祖流顧問と照屋勝子支部長の共演「二揚仲風節」
沖縄から特別出演の人間国宝・照喜名朝一琉球古典音楽安富祖流顧問と照屋勝子支部長の共演は「二揚仲風節」。めったに聞けない二人の息の合った格調高い箏曲と独唱の調べは、絶妙な響きを伴って聞く人の心を癒し、琉球独特な気候風土に思いを馳せる。
また、幕間には今年8月に沖縄で開催された「第50回琉球古典芸能コンクール」の入賞者表彰も沖縄の授賞式(12月6日)に先立って行われ、ロサンゼルス支部から出場した沢岻恵美子さんが箏曲の部で優秀賞に輝き、プレホダ富男さんと赤嶺多美子さんが新人賞を獲得。プレホダさんは三線安富祖流新人賞も併せて獲得という快挙を達成している。各受賞者には表彰状と記念品が贈られ、会場の大きな拍手で若いアーティストの前途を祝した。
琉球箏曲興陽会は1940年に発足し、今年で創立75周年を迎えたが、ロサンゼルスでの沿革は、1964年8月、宮城美与初代支部長のもと琉球箏曲興陽会北米支部の名称で発足。当初は、沖縄の本部から定期的に師範を招いて指導を仰ぎながら活動を継続。高野山ホール、イーベル劇場、天理教ホール、日米劇場、アームストロング劇場、北米沖縄県人会会館、州立大学や各地の文化センター、コミュニティーセンターなどで公演を行いながら沖縄の伝統芸能の紹介、普及発展に努めてきた。
2004年になって照屋勝子5代目支部長が就任。支部の名称を、ワシントン支部などに配慮して北米支部からロサンゼルス支部に変更し、引き続き沖縄県人会芸能部の「謡やびら踊やびら」公演や沖縄、ハワイなどで開催される記念公演、コミュニティーの親睦会、新年会、ワークショップなどにも積極的に参加し、沖縄伝統文化の懸け橋となる後継者の育成を図るとともに、琉球箏曲の継承と普及発展にエネルギーを注いでいる。【石原 嵩、写真も】
人間国宝・照喜名朝一顧問から表彰状を受けるプレホダ富男さん(前左)
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