生徒25人の力作120点紹介へ:「花」がテーマ、接写にも挑む
17、18日に写真展を開くパイオニアセンターで学ぶ生徒たち。思い思いの表現法で撮影した作品を披露した。2列目左端が緒方講師、同右端が岡田講師
日系パイオニアセンターの「基礎の写真教室」で学ぶ生徒25人による写真展が17日(土)18日(日)の両日、日米文化会館で催される。展示は学習の成果の発表を目的に学期末に毎年催し、7回目の今年は「花」をテーマにし、接写にも挑んだ力作約120点が紹介される。
写真に糊を張ってマウントする生徒たち
生徒はクラスでは習ったことを教え合い、作品を見せ合って誉め合い、励まし合って楽しく写真を撮っているという。年に1度の写真展は、上達を写真仲間や家族、友人、訪れる一般に見せる発表の場として励みにしている。旅先を決めるのに、写真映えするロケーションを優先して選ぶ生徒も多いという。
野外授業では、サンマリノのハンティントン・ライブラリーとガーデンに撮影会に出かけた。個人では、家族やクラスメートと被写体を追い求め、各所に赴いた。作品作りは「自分で撮ってタイトルを決め、自分でマウントして、自分で展示会場で作品を飾る」をモットーとし、プリントした作品を切って、ボードに糊を付けて張り、みんなで助け合って作品を並べる。
テンプルシティに住む柏原秀司さんは、今年から写真クラスを取り始めた。写真はリタイアして約20年が経った2、3年ほど前に始め、単なる趣味だったため気楽に「パチパチ撮っていた。撮った後にアジャストすればいいと思っていた」と話し、フォトショップやライトルームなどの写真修整ソフトに頼っていたという。だが、写真教室で構図など基礎から本格的に習い考えを変えた。
クラスメートは5、6年クラスに通い、基礎をしっかりと習っているため、作品を見た柏原さんは、勉強になり刺激を受けるという。「接写レンズや望遠レンズを使い分けて、みんな上手に撮っている。いいシャッターチャンスを捉えていて、瞬間を写すのが写真だと分かった」と頷く。
並木道の作品を披露する柏原さん
自身にとって今回はもちろん初の写真展といい、楽しみに待つ。作品は、シアトルとニューヨークを旅した際に撮影した中からの4点を選んだ。シアトルで写した3枚は、ダウンタウンの夜景に加え、親戚に頼んで近郊の撮影スポットを案内してもらい写したブラックベリーと野原の中の廃屋、そして田園の並木道を出展する。並木道は塀の中だったため、柵の間からの制限された撮影だったが、工夫を凝らした。中央の道がちょうど紅葉したもみじの落ち葉で覆われていたため前景としてアクセントを付けまた、遠ざかるほど道幅は狭める撮影法で遠近感を表現している。道を挟む両脇の並木は鑑賞する際に目に入る、ほどよい高さに写っており、芸術の秋にふさわしい傑作に仕上がった。
講師の岡田信行さんは、今年のテーマを花に決めた理由を、高齢メンバーに配慮したという。「行く行くは、みんな年老いて撮影旅行に行けなくなる日が必ず来る。そうなったとしても杖をつき、車いすに乗っても自宅の裏庭や近くの公園に出かけて、きれいな花や草木を撮って、写真ライフをエンジョイして老後の生き甲斐にしてもらいたい」との思いも込めた。
岡田さんは今回、接写の課題を与えたが、被写体の花は風になびく上に近接での微妙なフォーカス合わせは容易ではないため「撮影条件は酷だったが、みんな頑張ってくれた」と努力を誉める。さらに、葉や茎に付いた水玉(朝露など)の中に映り込んだ花の接写にも挑んだり、クラスで習った薄いガーゼをレンズに当ててソフト感を出す生徒もおり「クラスで教えたことを実行し、作品作りに役立ててくれた。今回接写を習得したので、写した作品を季節を問わず自宅に飾って毎日、鑑賞してほしい」と願う。展示については「生徒が写したきれいな花が会場いっぱいに咲いている。生徒の頑張りを見に来てほしい」と、来場を呼びかけている。
展示は入場無料。午前10時からで、17日は午後5時、18日は4時まで。詳細はパイオニアセンターまで、電話213・680・1656。【永田 潤】
12×18インチの大きさの写真を切る生徒ら
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