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Writer's pictureRafu Shimpo

白い台ふきん

 昔の友人が日本から「台ふきん」を送ってくれた。セロハンの袋に入っている。  8枚重ねでミシンステッチが入ったそのふきんは、母の代から使用していたから、覚えがあった。のりでカチカチに成型されていて、使い始めはお湯でよく洗ってのりを落とす。するとダラーっとなって手に重い感じが残る。  真っ白だから醤油のこぼれを拭く時には一瞬、躊躇してティッシュを先に使うものだから面倒で、私は今ではタオル地の柄物をもっぱら好んで使うようになっていた。添付の説明書きでそれが蚊張の生地で出来ているということをこの年になって初めて知らされた。  説明は続く。元々は奈良の蚊張会社が生地を裁断する時に出る端切れを重ねて縫ってふきんにし、自家用で使ったり、知人に配ったりしていたのだと。それがこのご時世でだんだん、蚊帳を使う人がいなくなって、ふきんの生産一本になったと。  「蚊張屋がふきん屋になりましたワ」と笑う社長の言葉と、大仏様のお身拭い用に選ばれたふきんであるとの「ありがたい」一行に、また大事に使ってみようという気持ちになる。台ふきん一枚でも、こんな気持ちで選んで使っている日本人にしばし思いを馳せていた。  この偉大なる消費文化を誇るアメリカ。来た当初は、ハンカチを持たない文化に驚いた私も、今では平気でペーパータオルを使っている(でも、手を拭いただけで捨てるのはもったいなくて、ついでにそこらの机の埃なども拭かずにおられない日本人根性はなかなかとれない)。  煩雑で多様な現代。商品にこんな風に解説が付いているのは、とても親切だし、作り手の心意気にホッとすることもある。  そういえば、この頃は野菜や果物などにも生産者の名前や、調理法入りで販売されているものがあるらしい。農家の人が責任を持って(自信を持って)生産していますということだろう。久しぶりに日本のスーパーに行ってみたいなァー。  テレビでは、M自動車の不正問題が報道されていた。25年も前からと涼しい顔で説明する責任者には白けてしまうが、こんな人は、その下に働く10万人もの生産者のプライドを損なったことさえ考えたこともないのだろう。【中島千絵】

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