秋の叙勲伝達式:テリー・ハラ氏に旭日小綬章
堀之内総領事(右)から勲章と賞状を伝達されたハラ氏
平成27年度秋の叙勲受章者のひとりで在ロサンゼルス総領事館管轄区域在住者のテリー・ハラ元ロサンゼルス市警察(LAPD)副本部長に対する叙勲伝達式が10日、ハンコックパーク地区にある在ロサンゼルス日本総領事公邸で行われた。家族をはじめ友人、日系コミュニティーの代表者らおよそ50人が出席する中、堀之内秀久・在ロサンゼルス日本総領事から旭日小綬章と表彰状が手渡された。【吉田純子、写真も】
伝達式で家族をはじめ、日系コミュニティーの人々に感謝の言葉を述べるハラ氏
日系3世のハラ氏は、1980年にLAPDに就職し、2008年にはアジア系として初めて副本部長に昇進、今年3月にLAPDを退職した。これまで日系人を含むアジア系米国人社会とLAPDとの対話促進、日系諸団体の行事や日本からの捜査要請に協力してきた。
10年に南加日米協会の理事に、13年に理事長に就任し、東日本大震災発生後の被災者支援に尽力し、児童養護施設の子どもたちをロサンゼルスに招く福島青少年文化交流プログラムに力を注いだ。
また南加日系商工会議所をはじめ日米文化会館、日系人兵士戦没記念碑財団など日系諸団体の活動にも貢献。今回の叙勲では日系人社会の地位向上および日米間の相互理解の促進、友好親善に寄与したことが認められた。
「日本政府からこのような名誉ある賞を頂き誇りに思います。私にとって人と人、コミュニティーとのつながりは非常に重要な役割を果たしてきました」
LAPDに35年間勤務し長く公職に就いてきた同氏にとって、LAPD副本部長としての役目は市民のために職務を全うすること。しかし同氏個人として自らに課していた役目はコミュニティーのために尽力することだった。
「家族をはじめ、日系コミュニティーの人々のサポートなくして自らに課した目標を全うすることはできなかった」。伝達式では長年支えてくれた妻ゲイルさんをはじめ、子どもたちにも感謝の言葉を述べた。
2015年は同氏にとって試練と挑戦の1年だった。2月に脳卒中を発症。奇跡的に早期発見でき、九死に一生を得た。二世週祭では自身2度目となる実行委員長に就任し、75年の節目を迎えた歴史ある同祭を成功させるため陣頭指揮をとった。
友情と仕事を大切にし、何事にも継続して取り組む気持ちが自らを奮い立たせ、そうした姿勢を貫くことが自らを支えてきたと振り返る。
「家族、友人、LAPD、コミュニティー、すべてを彼は全力で愛してきました」。南加日米協会のダグ・アーバー会長は、同氏が教育や文化に関するさまざまな団体のボランティア活動に携わってきたことに触れ、日本と日系社会の伝統や文化の継承のため、強いリーダーシップでコミュニティーをけん引してきたとハラ氏をたたえた。
人そしてコミュニティーと寄り添い歩むことを選んだ同氏は、今後も日米の友好関係の強化に貢献していきたいと抱負を語った。
親族や友人など伝達式の出席者と記念撮影に納まるハラ氏(前列左から4人目)
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