秋季大会に7支部から60人集結:長唄、津軽三味線、落語と共演も
重川昭水師の先導で、会詩を合吟する参加者。手前左が坂崎観水宗家
60吟士の朗々とした吟声が会場いっぱいに響いた
観水流米国錦友吟詩会は、第7回「南加地区秋季大会」をこのほど、トーレンスのミヤコ・ハイブリッドホテルで催し、7支部から集結した60人を超える吟士が日頃の練習の成果を発揮した。同会と同じく当地で日本の伝統文化の普及、継承に尽力する長唄、津軽三味線、落語の4団体が今年も共演し、各分野で伝統芸能を演じ、50人を超える聴衆を魅了した。
前田龍水・本部理事長が開会を宣言し「日本から遠く離れた異国の地ここアメリカで、格調高い日本の古典芸能を学ぶ今日の4団体は、伝統文化を継承し広め、発展のために尽力している」と、コラボレーションの意義を強調。「今日は緊張の中にも楽しい時を過ごしてほしい」と呼びかけた。
日本で修行した津軽三味線を披露するナオキ・アトキンズ
中加地区のフレズノから参加した坂崎観水宗家は「今年もみなさんに会えて、はつらつとした声が聴けて喜ばしく感慨無量。みなさんの協力に感謝し、敬意の念を表したい」と述べた。他の3団体との交流、共演については「日本の伝統文化が、今年もそろい意義深い」と、南加地区の創意工夫をたたえた。米国での日本文化の普及の重要性を説き、団結を促した。
吟詠プログラムは、第1部では一般会員(入会3年未満)を皮切りに堂号(3年以上)、水号(5年以上)が続いて登壇し声高らかに吟じた。2部は師範が朗々とした吟声を会場いっぱいに轟かせ、構成吟は「それぞれの月、それぞれの雨」を9人が、心を一つにし唄い継いだ。詩に込められたメッセージを率直に表現する錦友会の流儀に則った熱吟に大きな拍手が送られた。坂崎宗家が模範吟を披露し、締めくくった。
各部の吟詠が済むと、他の3団体が舞台に登場。長唄の「みのり会」は唄、三味線、大鼓、鼓、太鼓の演奏で「鼓」「末広がり」「手毬唄」を、津軽三味線の「佐々木光露三絃会」はナオキ・アトキンズが「津軽じょんがら節」などを披露、伊勢や大福は桂文枝作の現代落語「君よモーツアルトを聞いたか」で笑わせるなどし、会場は沸いた。
席上、昇格者が発表され、中加地区の梶川福水さんに水号の免状が授与された。
熱吟に大きな拍手を送る一般聴衆
南加の秋季大会に第1回から欠かさず参加しているという坂崎宗家は、今大会を振り返り「みんなが年々上手になっている。今年も素晴らしい吟詠を聴かせてもらい感銘を受けた」と高く評価した。坂崎宗家が初代宗家に師事した約45年前は同会の会員は約600人が在籍したといい「盛大だった」と、往時の隆盛を懐かしむ。だが近年は、日系社会と同様に同会も高齢化が進み、現在は会員数も約100人にまで減少し「辛い」と嘆く。一方で若い人の入会の勧誘に力を注ぐ南加地区の努力を「また盛り上げようとして頑張っている」と称賛した。【永田 潤】
「手毬唄」を演奏する「みのり会」のメンバー
南加地区秋季大会を終え、集合写真に納まるメンバー
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