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Writer's pictureRafu Shimpo

稀勢の里、ついに

 稀勢の里がついに第72代横綱になった。  これまで、優勝かと期待をされては終盤に崩れることが続き、はらはらしながら取組を見たものだが、ついに先場所、賜杯を初めて手にした。そして新横綱の誕生だ。  熱烈な相撲ファンではなかった私だが7年ほど前、東京での会合で、当時部屋を継いだばかりの玉ノ井親方(元大関の栃東)と同席する機会があった。  同夜の特別ゲストであった親方には、出席者から数々の質問が寄せられた。中でも、横綱を筆頭に外国人力士が活躍する角界の状況が皆の関心の的となり、その当時、幕内・十両合わせて総勢70人の関取のうち30人が外国出身と聞いて、皆驚いた。「ハングリー精神の薄くなった日本では、リクルートもなかなか難しくなって」と親方。  それでは、日本出身力士で綱とりを期待することが出来る者はと尋ねられ、親方が名を挙げたのが稀勢の里だった。とはいえ、「稀勢の里にその可能性があると思うのですが、ムラがあり、苦手力士があるのが不安…」とも。  親方が注目していた稀勢の里は、その後2年ほど番付の上下を繰り返したが、2011年には大関に昇進。以来約5年、何度も優勝争いにからんでは、今度こそ優勝だ、横綱だ、と期待がかけられて来た。  なにしろ、優勝に次ぐ勝ち星を挙げた「優勝次点」はこれまでに12回。そして、場所の成績次第で横綱にという「綱とり挑戦」も6度。昨年は、優勝のないままに「年間最多勝」という記録さえ作ってしまったのだ。  そして、7度目の綱とり挑戦がようやく実った今回。稀勢の里本人はもち論のこと、ファンもほっとしている。横綱貴乃花の引退から実に14年。19年ぶりの日本出身横綱の誕生に日本中が大喜びだ。   大相撲がいっそう面白くなりそうだ。  ところで、海外にいて相撲を楽しみたい人に便利なのが、「日本相撲協会」のホームページ(www.sumo.or.jp)。場所中は、取り組みの勝敗がウエブサイト内の星取表に即時に反映される。また、600人を超す力士や50以上ある相撲各部屋の紹介なども読むことが出来るので、興味が一段と深まること請け合いだ。参考までに。【楠瀬明子】

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