精神障害者への理解求め4千人参加:日本語支援グループも精力的に活動
日本語サポートグループ、NAMIサウスベイのメンバーとゴールを祝うオーガストソン榎本尚子さん(前列右から3人目)と植木チアキさん(右から2人目)
「NAMI」(National Alliance on Mental Illness)は、精神障害を持つ当事者とその家族を支えることを目的に1979年に設立された非営利団体。現在は全米に1200カ所の支部を持つ最大規模の非営利団体へと成長した。ある秋晴れの朝、ロサンゼルス市庁舎前で開催されたNAMIウォーク2017を訪ねた。
NAMIサウスベイ支部で日本語サポートグループJSSGの立ち上げに参加し、現在は会長としてグループをまとめている植木チアキさん。植木さんの38歳の息子は18歳のときに統合失調症と診断され、今はサンディエゴの養護施設で暮らしている。
以前の入所施設は劣悪な環境そのものだった。職員の対応にも不安や憤りを感じるものが数多くあったが、植木さんは「そういうものだろう」と自分に言い聞かせ、そこでの生活を継続させた。だが、施設の質の悪さを知った米国人の知人から「すぐ息子をそこから出すように」と言われ行動に移した。この経験から植木さんは変わったという。文化や慣習、子どもへの接し方の日米の違いを目の当たりにし、自分も学ばなければとの思いに行き着いた。
歓声を上げてゴールを喜ぶ参加者ら
精神障害者を持つ家庭の悩みを聞き、専門家から最新の知識を得る。この「学び」が「将来に対する希望」を植木さんにもたらしたという。「障害を持つ本人が自立できるように」手助けしていくことが目標となった。
やがて、互いの経験を日本語で分かち合うために母国語グループを立ち上げる。NAMIに参加していたオーガストソン榎本尚子(たかこ)さんが橋渡し的役割を担い、NAMIサウスベイ傘下の日本語サポートグループとして2012年にJSSGが発足した。現在も定期的に講演会や勉強会を開くなど、精力的に活動中だ。
精神障害者への理解を訴えるボードを掲げ、市庁舎周辺の5キロを歩く
この日の参加者は約4000人。JSSGメンバー9人もオリジナルデザインのTシャツで集まった。LA近郊の12支部を含む44のブースが立ち並ぶ中、サウスベイ支部にも資料を求める人が相次いだ。 グランドパーク周辺の5キロを参加者は1時間以上かけて歩く。にぎやかなドラムの鳴り響く中ゴールインし、笑顔で記念撮影。この日の集いはNAMIの活動を周知させることと募金が目的だ。植木さんによると、この日は目標額を大きく上回る3000ドル近い寄付が寄せられたという。 サウスベイ支部独自のグループ「精神障害を負うきょうだいを支える会」のミーティングに出ているという大学生で日系ハーフのエリカ・ウィリアムズさん。「精神障害者の弟と仲間をサポートするために毎年参加するようにしている」と笑顔で語った。 JSSGでは以下の日程で第3回目の講演会を予定している。テーマは「NAMIの歴史と活動、そして日本語サポートグループとは」(仮題) 講師は日本語サポートグループのスタッフが務める。 日時は2018年2月28日(予定)6時半から8時半まで 場所はガーデナ平原日本文化会館 問い合わせは、植木さん、電話310・617・5244。 メール― uekichiaki@hotmail.com
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