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Writer's pictureRafu Shimpo

草月流LA支部:干ばつヒントにいけばな展

枯れ木や枯れ葉、異質素材を組み合わせ、水を極力使わない今年のテーマに合った作品が展示された

枯れ木や枯れ葉、異質素材を組み合わせ、水を極力使わない今年のテーマに合った作品が展示された

 いけばな草月流のロサンゼルス支部(鯨岡佐枝子支部長)は10月24、25の両日、小東京のドイザキギャラリーで「Wet & Dry」と題したいけばな展を開催した。会場にはおよそ40作品が展示され、訪れた人々を魅了した。【吉田純子、写真も】

 今年のテーマ「Wet & Dry」は、現在カリフォルニア州が直面する干ばつ問題からヒントを得た。泉華・マリリン・ドラグセット支部長代理によると、今回のいけばな展を通して、節水への取り組みを表現したという。  展示されている作品は、枯れ木や枯れ葉を使い、水の使用量を最小限に抑えた。  個人のほか、グループで手掛けた作品もあり、会場には独創性が際立つ大小さまざまな作品が並んだ。  草月流は作品の中に異質素材を取り入れてもよいため、トイレットペーパーやワイヤー、チューブなどを使用した作品も数多くあり、美しさの中にもユニークさが目立つ。  6人で手掛けた作品の作者のひとり荒尾玉泉氏によると、作品の中で使用したパームジャケットは、ロサンゼルス市職員が歩道に植えてあるパームツリーの手入れをしていた際、道に落ちたものを拾って使用したという。パームジャケットは黒く塗り、ハロウィーンが近かったためオレンジ色の花を添えた。

 異質素材のホースの中には水を入れ「Wet」を表現。黒松と融合させた武市玉春氏

異質素材のホースの中には水を入れ「Wet」を表現。黒松と融合させた武市玉春氏

 草月流は「いつでも、どこでも、誰にでも」をモットーとしており、どんな素材を使ってもいけられる特徴がある。生徒たちは最初、草月流の基本を学ぶが、型にとらわれることなく、常に斬新なアイデアを取り入れ、自由な表現で花をいけることができるという。  宮原洋秀氏の作品は、一見たわしのように見える素材を使用。「実はパームツリーなのです。切ってみるとクルクルと丸まってきたので、枯れて乾燥すると今回のテーマに合うと思い使用しました」  乾燥した環境を好み、水を与えなくても長持ちするバンクシュアーの花を添え、「Dry」を作品の中で表した。「草月はアイデアを大切にします。本来なら捨ててしまうような素材や植物も作品に生かしていくのです」と宮原氏は話す。  ボイルハイツにある敬老引退者ホームで華道を教える武市玉春氏は、黒松と異質素材であるチューブを作品の中で融合させた。

 宮原洋秀氏の作品を観賞する広島県在住の服部祐子さん

宮原洋秀氏の作品を観賞する広島県在住の服部祐子さん

 敬老引退者ホームの庭園には黒松があり、手入れのため伐採された黒松の一部を使用した。「手入れが行き届いていたので形がよく、そのまま捨てるのはもったいないと思い、いけばなにしました」。チューブの中には水を入れ「Wet」を表現した。  作品の一つひとつをていねいに観賞していた服部祐子さんは広島県在住。訪米中にLA支部の展示があると聞き会場を訪れた。草月流のいけばな歴はおよそ40年。以前は広島支部に所属していた。10年前に引退し、その後は展示会があると足しげく通っていたという。「LAでも草月流の方々が活躍されていて嬉しい。さらに発展してほしいです」と語り、LA支部の華道家たちにエールを送った。

 6人がかりで完成させたいけばなの作者のひとり荒尾玉泉氏(手前右)と泉華・マリリン・ドラグセット支部長代理

6人がかりで完成させたいけばなの作者のひとり荒尾玉泉氏(手前右)と泉華・マリリン・ドラグセット支部長代理


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