見たい、見えないお抱え運転手
今から30年前にヒットしたSF映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。そのPART2で主人公が未来へタイムスリップしたのが先月21日だった。映画で描かれた未来の技術や出来事について、各国メディアが取り上げた。実現したものと、そうでないものを挙げ、興味深い比較だった。 それらの中で、現代に現れたのは、薄型テレビ、3Dムービー、指紋認証技術、ビデオ通話、浮遊するスケートボード、通話機能を持つ眼鏡、ドローンやタブレットなど、当時は想像できなかった代物が今や日常生活で使われていて、脱帽させられた。 反対に、犬の散歩や買い物の手伝いをするロボットは、開発中であるものの未だに姿を見せていない。女性大統領も誕生しておらず、来年か? 生ごみを燃料とし、未来と過去を旅する空を飛ぶ車、そうタイムマシンは夢のままで、お目見えするのは遠い先であるため今は、実用化が数年後とされる運転手の必要ない自動運転車に期待を寄せたい。 世界の自動車メーカーが、この技術開発を加速させている。弊害を伴うだろうが、利点が多く、われわれの生活をより安全に、そして豊かにしてくれることは間違いない。 自動運転車は、人間よりもはるかに優れたコンピュータの判断能力により、渋滞は軽減され、毎朝晩の通勤でストレスがたまるノロノロ運転から解放される。人身、死亡事故は大幅に減ることが何よりもうれしい。 子どもの通学、運転ができなくなった高齢者の買い物や通院、公共交通では困難が多い全盲などの身障者の移動など、社会的弱者が最も恩恵を受けることだろう。飲み会後は運転代行もいらず、飲酒運転の根絶に役立つ。カーシェアリングの利用は、便利なスマホのアプリで呼び出せば、無人の車がお迎えにやって来るだろう。運転手不在のため、免許の取得も不要といわれるから驚きだ。 子どもの頃、会社の社長や政治家が、お抱えの運転手を待たせ、黒塗りの車に乗り込んだのを思い出す。今は、社会に役に立つ見えないお抱え運転手を早く見たいものだ。社長気分で、後部座席にどっしりと座るのもいいかもしれない。【永田 潤】
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