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Writer's pictureRafu Shimpo

設立50周年記念、盛大に祝賀:高齢者支え日系社会の発展に貢献

創立50周年を記念し祝杯を挙げる(左から)水谷・南加県人会協議会会長、川田・南加日商会頭と竹花会長夫妻

 1969年の設立以来、オフィスを構える小東京に根を張り、高齢者向けの社会福祉サービスを無償提供するとともに、教育、文化、趣味など22の教室・プログラムを持つ非営利団体「日系パイオニアセンター」は、今年50周年を迎えた。半世紀の節目を祝う式典をこのほど、モンテベロのクワイエットキャノンに参加者176人を集め盛大に催した。高齢者を支え日系社会の発展に貢献する大きな業績をたたえ、「次の50年」へ向け、原点に帰り設立者の意思を守り、サービスをいっそう充実させ奉仕することを誓い合った。

あいさつに立つ竹花晴夫会長

 式典には千葉明総領事をはじめ各界からの代表が見守る中、竹花晴夫会長があいさつに立ち、約150年に上る日系史を紹介した中では排斥、強制収容などの暗い過去にも触れながら、パイオニアセンターの成り立ちから組織の理念、現在の活動を紹介し、その社会貢献の大きさを力説した。  1964年に公民権法が成立したことで自由を得た日系人、帰米二世、戦後渡米した日本人が高齢者となると、小東京でぶらぶらと時間を持て余す姿が見られるようになった。「彼らに娯楽、憩いの場、ソーシャル・サービスを提供する目的で、1969年に数名の有志が集まり『南加日系人パイオニアセンター』という名前で設立された」と、竹花会長は説明した。  また、パイオニアセンターにかかわることで「2点知ってもらいたいことがある」と力を込め、同センターから独立、そしてその逆で同センターに合併した日系2団体について話した。

功労賞の授与で竹花会長(中央)から記念品を贈られる受賞者のフミ・スタークさん(左)と松雪ひとみさん(右)

 70年代にパイオニアセンターは、毎月1回の「お食事会」を開き、小東京やボイルハイツから大勢の1世が集まり、栄養のある日本食を食べ親睦を深めていたという。その「お食事会」とは、「高齢者昼食会」だ。現在は、パイオニアセンターから独立して小東京タワーズ1階で運営している。  「もう一つは、パイオニアセンターは南加日系商工会議所とかかわりがある」とし、80年ごろの南加日商はさまざまな部会を持ったという。その中に高齢者をサポートする社会部が活動していたが「83年にこの社会部が南加日商からスピンオフし、日系パイオニアセンターにマージした。彼らがジョインすることにより、日系パイオニアセンターのソーシャル・プログラムが充実した」と強調した。

【写真上】コンピュータークラス、2005年頃撮影【同下】刺し子クラス、1973年

 20代目という竹花会長は、祝典に参列した歴代会長に敬意を表して一人一人の名を挙げ紹介するとともに、理事、そしてパイオニアセンターが誇る「全員がボランティア」という頼もしいスタッフ、各教室・プログラムの講師陣、祝賀会準備委員会のメンバーの労をねぎらい「パイオニアセンターは、大事なみなさんに支えられている。みなさん、どうぞお立ち下さい」と、起立を求めて縁の下の力持ちに謝意を表し、会場には大きな拍手を促す演出でたたえた。席上、スタッフ2人へ功労賞を授与し、受賞者の松雪ひとみさんとフミ・スタークさんに記念品が贈られた。  パイオニアセンターは、日米文化会館内にオフィスを構える。オフィスと教室は、一昨年に大規模な改装を施すとともに老朽化した備品を一新した。クラスで教える内容に合わせて配置を換えるテーブルは移動が容易なものにし、大型テレビモニターも設けた。生徒の学びやすい環境を整え、向学心を刺激した。  一昨年にはまた、会員数の増加を目指し、初のオープンハウスを開いて活動の周知を図り、好評を得た。会員数を着実に増やしている。運営は、会費と日系社会からの寄付、ファンドレイジング、各種のグラントでまかなっている。

【写真上】囲碁クラブの活動、1974年【同下】春蓉いけばな教室のメンバー、1975年

課題だった赤字運営は、力を注いだファンドレイジングなどさまざまな努力が実を結び、改善に向っているという。現在、50周年の記念誌を6月末の発行を目指してスタッフが編集に励んでいる。  社会福祉サービスは、日英両語を話すスタッフが対応にあたる。専門家を招いたセミナーもまた開いており、タックスリターンは税理士を、市民権講座では移民弁護士を定期的に迎え、資産運用、メディケア説明会は民間会社から専門スタッフが講師を務めるなど、サービスの向上を図っている。文化クラス、教育プログラムは、日本舞踊、民謡、茶道、華道、俳句、短歌、川柳、詩吟、コンピュータ、写真、刺し子、ヨガ、着付け、健康講座、絵手紙、シニア勉強会などと活動は多岐にわたる。理事、役員、ボランティア総勢約30人が連携し、会員約520人を全力でサポートしている。  「次の50年を目指して歩む」と、意気込む竹花会長。「50年前の設立の趣旨を基に日系パイオニアセンターを繁栄させたい。この組織の未来へ橋をかけ、設立の理念と遺産を次の世代に伝えたい」【永田 潤】

祝賀演奏を行う「粟屋陽子&フレンド」


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