闘病中の北岡氏が講演:「がんとの共生」を熱弁
がんの闘病について講演する北岡氏
6月11日、闘病のために日本に帰国していた北岡和義氏がアーバインを訪れて講演会を開催した。この講演会は、オレンジ郡日系協会(藤田喜美子会長)とオレンジカウンティ倫理法人会(ギラム真理子会長)、そしてジャパニーズ・フレンドシップ・ネットワーク・イン・OC(住山弘代表)のオレンジ郡を拠点とする日系3団体が共催し、Keiroが協賛した。
約120人の聴衆を前に「がんとの共生」というタイトルで壇上に上がった北岡氏は、元気そうな声で「がんは人間そのものだ」と切り出した。人類は医療が発達して延命はできるようになったが、がんが克服できたわけではない。現在北岡氏は肝臓がんでステージ4と言われており、余命3カ月から6カ月と宣告されている。がんはわからない事が多い病気で、だからこそ逆に面白いとも言う。それはがんというのは人間社会そのもので、人間の個性と同じように、それぞれにがんの個性もある。皆同じではないから、同じ方法で治療をしても治癒しない場合も多い。がん=死というイメージを持つ人も多いが、がんというのは個性的な病気であるからこそ「ステレオタイプなイメージでがんを捉えないでほしい」と訴えた。
北岡氏の熱弁に拍手を送る参加者
北岡氏は現在77歳で、ずっと「生きて」きて、同時に「死ぬ」ということをしてきたと言う。「生きる」と「死ぬ」ということは同じ意味であり、死があるから生があるのであり、死を含めたものが生命活動である。つまりそのような意味で「がんと共生する」ことを実践している。実際に、抗がん剤をやめて休薬をしたにも関わらず、がんマーカーの数値が上がらなかったこともあるそうだ。身をもってがん体験をすることで、がんはよくわからないということを実感している。
「IYASHIケア」について講演する八浪医師
人間の細胞は約40兆個あり、細胞の中に遺伝子があり、その中には、死の遺伝子がある。通常は細胞が死んでいって、また新しい細胞に生まれ変わるのだが、がん細胞は、死なずにどんどん増殖していく。どのようにがんの細胞が死ぬのか、一方でどうして死なない細胞があるのかよくわかっておらず、これはよくわかっていない放射能の影響と同じような意味だという持論を伝えた。その上で、「死を無視して生きてはいけない。死んでいく人がいるからわれわれは生きているのです。誰も死にたくはないと思っているはずですが、天国に行きたい人はたくさんいるのです。死は全ての新しい道を作るのです。三途の川は私たちの頭の中にあるのです。わからないことを考えてもしかたがない」とも述べた。自分ががんになることによって、がんと戦わない生き方を学び選んだという。がんと共生することは、平和につながる方法でもあるというメッセージが、満席の会場に響いた。
あいさつに立つオレンジ郡日系協会の藤田会長
北岡氏の講演後、緩和ケアを日系高齢者に届ける活動をする「IYASHIケア」の担当医である八浪祐一・エドウイン医師が講演をし、「皆がピンピンコロリと逝きたいというイメージを持っているが、生活の質を保ちながら治療をしていくためには、家族や相談者が必要。認知症により『そろそろ体が限界に達してきた』という理解をすることもでき、胃ろうなどの延命措置も、患者さん本人の意思がどこにあるのか良く話し合いをすることが大切。私たちは寄り添う形で相談に乗ることができる」と述べた。IYASHIケアでは無料相談にものっている。 最後に主催者である3団体の代表者があいさつをし、Keiroから寄付された約120食の弁当が配布された。
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