電話でひと騒動
20年近くわが家が長距離・国際電話サービス契約を結んでいるS社から、手紙が届いた。「弊社は『市場状況の変化のため』今秋から固定電話の長距離・国際通話の取り扱いを中止します。ついては早めに対策をおとり下さい」とある。近年日本の携帯電話会社の傘下に入ったことは知っていたが、こういう事態になるとは予想もしなかった。 私はひとり暮らしの母へ毎日電話を入れるので、日本へ国際電話がかけられなくなるのは困る。早速、他の電話会社をと探し始めたのだが、思ったほど簡単ではなかった。 まず、わが家がローカル電話の契約を結んでいるC社。ウエブサイトを見ると「国際電話パッケージ」が記載されているのだが、「いえ、日本への電話は取り扱ってません」とつれない。3度目の電話でようやく分かったことは、C社の国際電話パッケージは中南米諸国のみが対象だということ。 とりあえず、これまでS社で利用していた国内長距離電話だけはC社に移行できたが、国際電話は別にまた探さねばならない。そこで他の人に「国際電話どうしてる?」と尋ねてみた。 知人女性は「スカイプよ」。ずっと携帯電話の次男は、「僕はグーグル・ボイスを使ってる」。友人一家は「ケーブル会社で一括して契約してます」。スカイプ、グーグル、ケーブルとの契約? 電話サービスは当然電話会社が扱うものと思っていたが、知らぬ間に大きく変わっていたようだ。 結局、当面はプリペイドの国際電話サービスで対応することにした。通話料は一分間3セント弱とのうたい文句。とはいえ、指定された番号をいったん呼び出す必要があるので、その通話料も入れるともう少しかかるだろうか。 やれやれ一件落着と安心していたところ、「この一週間ずっと電話が通じないので大変心配してます」と日本からのメール。驚いてC社に連絡すると、「海外からの電話は発信者不明としてブロックされており、セキュリティースクリーン解除手続きが必要です」。 これまで何気なく利用してきた国際電話だが、騒動後の今は、普通に話せることに有難みを感じている。 【楠瀬明子】
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