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Writer's pictureRafu Shimpo

震災の風化防止と被災者支援

 明日で、いや正式には今日で、あの日から21年がたつ。  渡米したての私は英語学校の授業を終え、午後3時半頃、ホームステイ先に帰宅するや否やホストマザーから「日本で大きな地震があった。あなたの町の地域だ。すぐに電話しなさい」と急かされ、背筋が寒くなる思いをした。  取るものも取りあえずかけた。なかなかつながらない。ホストファミリーから「あなたの家族は、絶対に無事だから」と励まされ、焦る気持ちを必死に抑えた。電話にでることができないのは「崩れた建物の下敷きになっているのか」「救急車で運ばれたからなのか」など、よぎるのは不安ばかり。  ようやく、つながり家族に愛犬、親戚、近所全員の安全を確認できたが「神戸がやられた」と教えられ、他の緊急連絡の邪魔になるから、と通話を絶った。毎年この時期になると、この苦い経験を思い出す。  震災の4カ月後に半壊した自宅の私物整理のために帰国したが、多くの人々の命が奪われ、爪痕が痛々しい神戸に足を運ぶ気にはなれなかった。今年の新成人は、この地震後に生まれたといい、時代の移り変わりを感じるが、震災を風化させてはならない。  もう1つ忘れてはならない東日本大震災が、3月で発生5年を迎える。  津波に町が飲み込まれる様子がテレビやインターネットのニュースで世界に伝えられ、甚大な被害に、世界中から支援の手が差し伸べられた。われわれが住む南加でも被災地救済のための募金活動などが活発に行われ、支援の輪が広がり、日系社会では一体感が生まれてよかった。だが、1年、2年、3年と経過するにつれ、支援の意識は希薄になり残念。発生当初の「1日でも早い復興を」「長期的な支援を」と願ったのは、どこにいったのだろうか。  東北の大震災は、原発事故が絡むだけに複雑で、依然として避難所で不自由な生活を強いられている人もおり、特に高齢者は気の毒に思う。なので、この5年の節目を機に、支援の必要性を考え直した方がいいだろう。【永田 潤】

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