黒人射殺事件:警官1人、規定に反する
警察委員会の検証結果が出た後、記者会見を開き黒人男性射殺事件について述べるガーセッティーLA市長
武装していなかった黒人男性イゼル・フォードさん(当時25歳)が、ロサンゼルス市警察(LAPD)の警官に撃たれ死亡した事件をめぐり、警察官の職務や秩序を監督する警察委員会が9日、警官の対応を再検証し、2人のうちひとりに警察官の職務執行規定に反する行為があったとの結論に至った。同日夕方にはLA市庁舎でエリック・ガーセッティー市長が会見を開き、公平なプロセスで問題が解決されることを望んだ。
同委員会のミーティングの前には公聴会が行われ、フォードさんの母親ほか、黒人への差別反対を訴える活動グループ「Black Lives Matter Los Angeles」のメンバーらが出席。警官の行為に行き過ぎがあったと主張し、声を荒らげ怒りをあらわにする発言者の姿もあった。 公聴会の後には、およそ3時間半におよぶ非公開の検証が行われ、同委員会は全会一致で2人の警官のうちひとりに職務執行規定に反する行為があり、銃を発砲したもうひとりの警官は規定に沿った対応で違反はなかったとの判断に至った。 委員会での結論の後、市長はサウスロサンゼルスの教会でフォードさんの母親と1時間ほど面会。 同日夕方に市長は記者会見を開き、「フォードさん、黒人、そしてすべての人々の生命は大切である。大切な息子を失った両親に心より哀悼の意を表したい。公平な判断のもと、この問題を解決していかなければならない」と話した。 事件は昨年8月11日、サウスロサンゼルス地区で発生した。当局の発表によると、LAPDの警官がフォードさんに職務質問をしたがフォードさんは無視し、警官のひとりと取っ組み合いになった。その直後、警官から拳銃を奪おうとしたため、そばにいた別の警官が発砲した。遺族によるとフォードさんには精神障害があったという。 DNA鑑定の結果、取っ組み合いの際にできた警官の手の傷跡と拳銃からはフォードさんのDNAが検出された。 LAPDのチャーリー・ベック署長が、警官2人の対応は警察規定に沿った正当な対応だったと判断していたことが報じられると、Black Lives Matter Los Angelsのメンバーらが同署長の解任を求め、今週初めにLA市長公邸前で2日間の泊まり込みの抗議デモを行った。 フォードさんの遺族は昨年9月に同市を相手取り、7500万ドルの損害賠償を求める民事訴訟を起こしている。【吉田純子】
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