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Writer's pictureRafu Shimpo

5校から代表44人、熱弁振るう:個性ある切り口で思いを表現

集合写真に納まる学園特別選出と中・校等学部の入賞者(前列)と審査員、学園教授ら

 ロサンゼルスの5カ所の学校で継承日本語に取り組む日本語学園協同システム(村方清学園長、生徒500人)の連合スピーチコンテストが3月23日、小東京の曹洞宗禅宗寺で行われた。先に各学校で行われた1次を勝ち抜いた代表44人が、小学部から高等学部部門、学園特別選出部門にエントリーし、連合コンテストの頂点を目指して熱弁を振るった。【麻生美重、写真も】

 今年で小学部第68回、中学・高等部第32回となった歴史あるコンテスト。参加者は1人2分という制限時間をフルに使い、自分の思いを日本語で表現する。小学部低学年は家族や身の回りの出来事、スポーツ競技をテーマにするものが目立った。高学年になると人生や自分の性格に加え、地球環境や進化論など視野の広がりを感じる。中学部以上では、労働や歴史などのトピックのほか、家族や文化についてのさらに踏み込んだ考察、個性ある切り口が随所に見られた。

柔道着でスピーチする玉那覇恵美さん

 学園特別選出の5人は、(1)半年以上日本語を学んでいないこと(2)日本に住んだ経験がないこと(3)両親が日本語を使わないことを条件として選ばれた。5人はみな流暢に日本語のスピーチを披露し、これまでの練習に報いた。

手話をしながらスピーチする野口桐禾さん

 村方学園長は大勢の前で話すことの難しさについて触れ、「大人になり、アメリカの会社で働き始めて34歳でようやくスピーチを克服した」と自分の体験を語った。   柴田節江審査員は「全員が暗記をしているスピーチ大会は初めて」と驚きを表し、「発音、日本語力、イントネーションの正確さに加えて、効果的にわかりやすく伝えることが高得点に結びつく」と講評を述べた。 協同システム羅府中央学園の田中レイラ教諭によると、「2、3年前まではプログラムに漢字表記の名前が多かったが、最近はカタカナ表記も多くなり、日本語話者に引けを取らない内容と語学力でコンテストに挑んでくる生徒が増えてきた」という。

「日本の少女漫画が好き」という1位入賞のタマラさん

 小学部高学年の玉那覇恵美さんは「柔道を通してならっていること」で部門3位となった。玉那覇さんは「日本語環境のない生徒が学ぶクラス」に籍を置く。このクラスが設置されて4年目。この中から初の入賞者となった。  最高得点賞には、小学部から「手話」の野口桐禾さん、中高、特別選出部門から「神様が与えてくれたセカンドチャンス」の西愛妃奈さんが選ばれた。  障害を持つ兄とともに4歳から手話を覚えたという野口さんは、障害者と触れ合う機会の多い自らの生活の中で、その特技を生かしている様子を手話付きでスピーチした。受賞後、野口さんはトロフィーを手に家族と記念撮影。少し緊張した面持ちで「(スピーチは先生と)何度も練習した」と答え、来年のコンテスト参加にも意欲を示した。  6年生の時に突然の病に倒れ、生死の境を行き来した体験を発表した西さん。この時に変化した人生観を以後の生き方に反映させてきた。「いつも用事が重なり、出場したのは今年が初めて。日本語学校の最後に自分の体験を発表でき、受賞もしたのでとても嬉しい。命と健康の大切さを今後も忘れずにいたい」と力を込めた。

病気を克服した体験を発表した西さん

 スピーチコンテストの入賞者は次の通り。(敬称略) 小学部低学年の部  1位「手話」野口桐禾  2位「大切な手紙」上村佳美   3位「ちびまる子ちゃん」宗海美 小学部高学年の部  1位「いただきます」大泉美和  2位「兄弟対兄弟」城石道雄  3位「柔道を通してならっていること」玉那覇恵美 学園特別選出  1位「日本語の学習」ララヤン・タマラ 中学部  1位「日本の教科書」小宮沙羅  2位「家族」山根ジュリア 高等学部   優秀賞「神様が与えてくれたセカンドチャンス」西愛妃奈

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