5都市対抗、交流の輪広げる:熱戦を展開、NYが3連覇
大会第1試合でぶつかり合うロサンゼルスとヒューストン
ラインアウトでボールを奪い合うニューヨーク(左)とロサンゼルスのアレックス・ディアス選手
米国5都市から日系ラグビーチームが集結した第11回「USジャパンカップ」ロサンゼルス大会(佃義啓・大会実行委員長)が7日、サンペドロのダニエルズ・フィールドで開催され、交流の輪を広げた。総当たり戦で熱戦を展開し、ニューヨークが3連覇を果たした。
選手は、学生時代にラグビーに明け暮れ、自称「ラグビーバカ」という人が多い。仕事と家族サービスをこなしながら、週末に練習を重ね、楽しみにしていた1年に1度の「晴れ舞台」に備えてきた。
大会は毎年秋に開催され、各都市持ち回りのホストをLAが務めた。今年は「世界で最高のラグビー祭り」をテーマに掲げ、「基本に忠実なプレー」「対戦相手とレフリーへの敬意」「ファンとスタッフへの感謝の心」を持って臨んだ。
母国日本代表は、ラグビーワールドカップ・イングランド大会で、3位となった強豪南アフリカを下し、歴史的な3勝を挙げるなど列島を沸かせた。その興奮が冷めやらぬ中、大会は行われ「ワールドカップの再現を」と選手は意気込み、全力プレーを披露した。
ゴールキックを決めるニューヨークの須永裕太主将
各チームが4試合のリーグ戦を戦って優勝を争い、20分間の各試合で熱戦が繰り広げられた。大会を制したニューヨークは、初戦で覇権奪還に燃えたロサンゼルスを下して波に乗り、7度目の優勝を4戦全勝で飾った。ロサンゼルスが2位、ヒューストン3位、シカゴとシアトルが4位を分け合った。
勝利の美酒に酔ったニューヨークの須永裕太主将は「これまでLA開催の大会では優勝できず鬼門だったので、ここで3連覇ができて感無量」と喜んだ。絶対的エースが不在の中、「一人ひとりが自分の仕事をきっちりとこなすことで、他チームを上回ることができた」と、チームワークの勝利に胸を張った。チームは駐在員が多いため、メンバーの入れ替わりが激しく、ハンディを持つが「4連覇に向けて早速始動し、日本のラグビーブームに負けないように、アメリカでも盛り上げたい」と抱負を述べた。
佃大会委員長は、大会を総括し「ワールドカップの熱気を持ったまま、盛り上がってよかった。皆が力いっぱいプレーし、親睦も深め、1年に1日のラグビー祭りを最高の大会で終えることができた」と成功を誇った。同委員長は「LAゴジラRFC」の主将も務め、試合ではトライを奪うなど活躍。NY戦について「相手は、ラグビーIQが高く、セットプレー、特にラインアウトで制された。モール、ラックでの球への仕掛け方も絶妙だった。『打倒ニューヨーク』を目指したが、壁は厚かった」と振り返り、大会初という3連覇の快挙をたたえた。
ヒューストン戦で先制のトライを奪うロサンゼルスの佃義啓主将(下)。佃選手は、実行委員長としても活躍し、大会を成功に導いた
打ち上げをサウスベイで行い、敵味方なく健闘をたたえる光景は、まさに「ノーサイド」。二次会そして、翌日にはバーベキューパーティーを開き親睦を深め、W杯や今大会についてなど、ラグビー談議に花を咲かせた。
大会は勝敗のみならず、ラグビーの楽しさを分かち合い、ラグビーの輪を全米、そして世界へ広げることを目的とする。世界への普及に対し委員長は、在米日系各チームがとる姿勢を「日本代表チームを模範にすればいい」と提案する。日本がW杯で感動を与えた理由を、「強さに加え『真しな態度』『相手を尊重』『サポーターへの感謝』」があったからこそ」と説く。「ラグビーに国境はない。われわれがアメリカで心を一つにしてプレーし続ければ、ラグビーを好きになる人が増える」と強調し、4年後の母国開催のW杯の成功に寄与する意志を示した。【永田 潤】
3連覇を果たしたニューヨークのオールジャパン・ラグビー・フットボールクラブのフィフティーン
ボールを持って疾走するニューヨークの坂巻弘康選手(右)の進撃の阻止を試みるロサンゼルスのジョン秋葉選手(左)
切れのあるパスを出すロサンゼルスの東谷拡史選手(中央)。チームの要は、西陵高(旧西陵商)から花園の全国大会に出場し日本一に輝いた実力の持ち主
ヒューストン戦で、トライを目指して突進する島田公一選手
【写真左】シカゴ—ニューヨーク戦【同右】シアトル—シカゴ戦
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