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Keiro、41団体に助成金授与:受領4代表が謝辞、活動概要発表も

 Keiroはこのほど、2016年に新設した助成金プログラムの2017年度の授与式を全米日系人博物館で行った。助成金を受領する41団体から4団体の代表者が登壇し、同プログラムを行うKeiroへの謝意および各団体の活動概要を発表するなどした。また、「癒しケア」と題して八浪祐一・エドウィン医学博士による基調講演も行われた。【麻生美重】

あいさつに立つKeiroのレオナ・ヒラオカCEO

 当日はKeiro理事会、助成金審査委員会、受領団体代表や過去の受領者代表、日系コミュニティーのリーダー、ボランティア、日系マスコミ関係者など約130人が出席した。  冒頭、Keiroのレオナ・ヒラオカCEO、助成金審査委員会のロン・タカスギ氏があいさつに立った。ヒラオカ氏は表彰する各団体の実施するプログラムについて「日系アメリカ人や日本人の高齢者、その介護者を支援するためには、幅広い視野が必要」との所感を述べた。また「Keiroが高齢者の生活の質の向上のために共に歩めることを誇りに思う」とし、各団体のサービスやプログラムを資金面で支援することや、その過程でコミュニティーのニーズをより深く学ぶ機会が得られることに対し「光栄に思う」と喜びを表した。   13人から成る審査委員会代表を務めるタカスギ氏は、過去2年間、委員会の一員として携わる中で感じたことを次のように語った。「コミュニティーにはさまざまな団体が存在し、高齢者を支援するための革新的方法を見出していることに、啓発されると同時に心温まる思いだ」 

ロサンゼルス・ホーリネス教会を代表しスピーチするジェイミー・ナカスジ氏

 各委員には4、5件の申請書が割り当てられ、膨大な時間を費やしてそれらの検討と分析を行った。各団体が提案するプロジェクトには支援を受けるに値する説得力ある説明が記載されており、審査は容易ではなかったという。タカスギ氏は「Keiroが支援を希望するものに最終的にたどり着くまでには、献身的で協力的な作業が必要とされた」と選考過程を振り返り、各団体が助成金を「創造的かつ革新的な方法で」活用することを楽しみにしていると結んだ。  昼食を挟み、受領者のスピーチが始まった。まずロサンゼルス・ホーリネス教会代表のジェイミー・ナカスジ氏が登壇した。同教会では2年ほど前、家族の介護をする信徒が増えていることに気付き、「Powerful Tools for Caregivers(介護者のための強力なツール)」という短期講座を実施した。この講座の成功が発端となり、介護者グループを結成するに至ったという。Keiro助成金により、同介護者グループは定期的に会食や合宿などを実施し、介護の苦労や喜びを分かち合う機会を得たとしている。

「友達弁当」プロジェクトを紹介するオレンジ郡仏教会プログラム・マネージャのベス・フジシゲ氏

 続いてオレンジ郡仏教会より、同教会プログラム・マネージャのベス・フジシゲ氏、同ボランティア・コーディネーターのエイミー・イワマサ氏が「友達弁当」プロジェクトを紹介した。同プロジェクトの目的は、オレンジ郡に住む自宅介護の高齢者に、和食やアジア料理を月2回届けるというもの。参加ボランティアは40人ほど。彼らは皆、40年以上の経験と知識のある在宅介護ボランティアからオリエンテーションを受け、必要な情報を学習する。活動概要をプロジェクターで映し出し具体的に紹介した。これまでに配達した弁当は855個、サービスを受けた日系アメリカ人高齢者は58人という。

オレンジ郡日系協会代表のミラー・幸代氏

 オレンジ郡日系協会からはミラー・幸代氏が代表スピーチを行った。「当協会はさまざまな社会福祉や日本文化活動を提供し促進することを目的としている」  約240人の日系および日本人高齢者に書道、生け花、麻雀、茶道などのクラスを提供し、ランチョンや介護セミナーなども開催しているという。これらの目的達成には高齢者を送迎する交通手段が大きな課題として存在する。また、家族を介護する人の直面するさまざまな問題にも、Keiro助成金を有効に活用し解決へ向け取り組んでいく計画だ。

ベニス本願寺別院代表で登壇しスピーチするアーギー・アルセンディガ氏

 ベニス本願寺別院代表で登壇したアーギー・アルセンディガ氏は「良き詩人は書き方でなく、むしろ聴き方を知っている」という例えを用い、同別院での取り組みを説明した。この中で「ヘルス・リテラシー」について触れた。これは「健康面での適切な意思決定に必要な基本的健康情報を理解し使いこなす能力」のこと。医師と患者の間にはこの「ヘルス・リテラシー」による格差が少なからず存在し、患者が高齢で、さらに限られた英語能力である場合には、その格差がさらに広がるとの学術的調査結果を踏まえて解説した。  高齢者と介護者をよく理解し代弁できる「ヘルス・リテラシー能力を持つ若者」の育成を同別院の目的とし、助成金を活用するとの誓いを語った。  この後、「癒しケア」と題して八浪祐一・エドウィン医学博士による基調講演が行われた。「Keiroとプロビデンス・ヘルス・アンド・サービスが提携して行う『癒しケア』は、進行性の病などの深刻な病気を抱える日系人や日本人高齢者へ心の安らぎを届けることを目指している」とした。

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