LA幕末維新会が講演会「西郷どんの時代」:原口泉名誉教授が語る
講演会「西郷どんの時代」を31日に開く原口泉・鹿児島大学名誉教授
2018年NHK大河ドラマ「西郷どん」の放送を機に幕末維新の勉強会として昨秋、発足した「LA幕末維新会」(白井真由美会長)は「西郷どん」の時代考証を担当した原口泉・鹿児島大学名誉教授を招いた講演会を31日(日)午後1時半から、トーレンスのミヤコ・ハイブリッドホテル(21381 S Western Ave.)で主催する。
原口名誉教授の演題は「西郷どんの時代」で、幕末維新の志士を代表する西郷隆盛の生き様やこの時代を疾駆した薩長土肥の武士の活動を時代背景と共に紹介する。講演に続く座談会には原口氏のほか松尾浩樹首席領事とコラムニストの後藤英彦氏が参加、「誰が坂本龍馬を殺したか」など、興味深いテーマを選び座談を盛り上げる。モデレーターを後藤英彦、総合司会は白井会長がそれぞれ務める。 大河ドラマ「西郷どん」は、直木賞作家林真理子の同名の小説をNHKがドラマ化、昨年1年を毎週通しで放映した。鹿児島藩の下級武士で若い頃から藩内で一歩抜きんでた西郷隆盛と大久保利通は共に鹿児島市加治屋町の出身で、藩のリーダーとなって、長州の木戸孝允とともに「維新の三傑」と称された。しかし2人の友情は西郷の征韓論を境に壊れ、ついにいがみ合う仲になった。西郷は陸軍大将・参議という新政府最高の地位を捨てて下野、鹿児島に戻り、西南戦争(1877年)に敗れ戦死した。「西郷どん」は日本史最大の激動の幕末維新期を忠実に描き出している。西郷を演じた主役の鈴木亮平と大久保利通役の瑛太の好演はロサンゼルスでも話題を呼んだ。 講演会のチケットは、前売り20ドル、当日30ドル。問い合わせは、白井さん、電話310・200・2096。メール― shirai@magicbell.tv LA幕末維新会はまた、原口氏の講演の前々日の29日に別途、トーレンスのホテルで出版用の座談会を非公開で開く。座談会には原口、松尾、後藤の三氏に、東アジア史の米国の第一人者UCサンタバーバラ校のルーク・ロバーツ教授が加わる。午前9時半から午後11時までマラソン座談を重ねる。録音した座談を後藤氏が整理、編集の上「LA幕末維新会」主宰で今秋出版する予定。 原口泉 志學館大学教授、鹿児島大学名誉教授。東大文学部卒、日本近世史近代史。NHK大河ドラマの「翔ぶが如く」「琉球の風」「篤姫」「西郷どん」などの時代考証が評価され2018年のNHK放送文化賞を受賞。著書は「女城主『直虎』の謎」「龍馬を超えた男 小松帯刀」など二十余冊。 ルーク・ロバーツ UCサンタバーバラ校教授。プリンストン大卒。日本近世史近代史。武士の日常、土佐の上士と郷士、土佐の馬廻り階級、大名国家の国益思想、近世政治における表と内緒、藩国家の大名国家神道、廃領分置藩等の著書、論文多数。 松尾浩樹 在ロサンゼルス日本総領事館首席領事、早大法学部、外務省、専門分野はロシア。 後藤英彦 コラムニスト、中大法科卒。元時事通信社ロサンゼルス支局長。
LA幕末維新会
女性幹部を積極登用
LA幕末維新会は、硬い漢文調のというグループ名に敢えて挑戦するように、白井真由美会長、大川敏子・事務局長など女性を幹部に登用し、男性はすべて平会員として女性幹部を下支えする体制を敷く。会長、事務局長の両輪を女性が独占したケースは女性の団体を除いてLAでは類例がない。
女性の地位向上は日本の特殊事情もあって思うように進んでいない。安倍首相はかつて「社会のあらゆる分野において指導的地位に占める女性の割合を2020年までに少なくとも30%にする」と演説した。しかし重要な指標となる国会議員に占める女性の割合はOECD調べ(2016年)で世界の平均が22・8%なのに対し、一桁の9・5%に留まっている。女性議員の割合が高いのはスウエーデン43・6%、フィンランド40%など北欧勢だ。日本はG7では最下位、191カ国中154位に甘んじている。他国と比べ家事、子弟教育に対する女性の過重負担や「政治は男性がするもの」との因襲に拘束されているからだという。しかし「ここ米国は、日本と事情が違い、女性がもっと自由に羽ばたくことのできる『場』だ」とLA幕末維新会のメンバーは強調する。会員の水野穣氏は「LA幕末維新会の人事は有能な女性への応援歌だ」と語っている。
原口名誉教授の講演会「西郷どんの時代」に向け、打ち合わせをするLA幕末維新会のメンバー。左から白井会長、後藤氏、大川事務局長と水野氏
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